ワンオペで休憩が取れないのは、シフトに人が足りないからではありません。時間帯の人時に、重なりが1つも無いからです。

45分の休憩に要るのは0.75人時です。1日のどこかにその余りがあれば、人を増やさずに休憩を置けます。

休憩が消えるのは、重なりが無いから

14時、客足が引いた。ここで休憩に入るつもりだった。そのとき入り口が開いて、レジに立つことになる。

そのまま閉店まで店にいます。シフト表の休憩欄には45分と書いてあるのに、実際には一度も座っていません。

原因は、店全体の人数ではありません。その時間帯に立っているのが1人だけで、抜けた45分を引き受ける人がいないからです。休憩は、人が重なっている時間にしか置けません。

手が空いたときに休んでもらう形も、休憩にはなりません。電話やレジに備えて待っている時間は、労働基準法では休憩ではなく労働時間として扱われます。営業を続けたまま店に1人という状態では、この条件を満たしにくくなります。扱いは運用によって変わるので、個別の判断は社会保険労務士に確認してください。

45分の休憩は、0.75人時にあたる

休憩を時間の単位に直すと、考えることが1つに絞れます。人時(にんじ)は、働いた人数に時間をかけた合計です。3人が4時間働けば12人時になります。

休憩の長さ店から抜ける人時同じ人時を足すときの金額
45分0.75人時900円
60分1.00人時1,200円

平均時給1,200円で計算しています。休憩そのものは労働時間ではないので、賃金は原則として発生しません(就業規則で有給としている場合を除きます)。

お金がかかるのは、抜けた分を誰かの勤務を延ばして埋めたときだけです。もともと人時が余っている時間帯に置けば、追加の人件費はかかりません。

だから考えるのは、1つだけです。0.75人時ぶん人が薄くなっても回る時間帯が、1日のどこにあるか。

休憩の義務は、本人の労働時間で決まる

休憩を与える義務は、店の人数では決まりません。決めるのは、その人が何時間働くかです。

その人の労働時間与える休憩
6時間ちょうどまで義務なし
6時間を超えて8時間まで45分以上
8時間を超える60分以上

労働基準法34条1項の定めです。条文が「6時間を超える場合」と書いているので、6時間ちょうどでは義務は生じません。8時間ちょうどなら、45分以上が下限になります。

置く場所にも条件があります。休憩は、労働時間の途中に与えます。勤務の終わりに寄せて早上がりにする形では、要件を満たしません。

休憩はみんな一斉に与えるのが原則ですが、飲食店は労働基準法40条と同法施行規則31条で、この原則の例外になっています。つまり交代で取らせてよい業種です。休憩を時間帯に分けて重ねて置けるのは、この例外があるからです。

就業規則や雇用契約の書き方によって扱いが変わる部分があります。個別の判断は社会保険労務士に確認してください。

休憩を重ねられる時間帯は、1日に5つある

ここからは、実在の店舗ではなく説明のためのモデル例で考えます。日商30万円、営業は11時から21時まで、1日の人時は75人時です。内訳は、オープン準備7人時、営業時間帯60人時、クローズ8人時です。

目標人時売上高は、1人時あたりに売りたい金額のことです。営業時間帯の売上を営業時間帯の人時で割って、300,000円 ÷ 60人時 = 5,000円になります。出し方は適正人員の出し方に書きました。

この5,000円で、時間帯ごとに本当に必要な人時を割り出します。

必要な人時 = その時間帯の売上 ÷ 5,000円

時間帯売上実際の人時必要な人時差
11時台18,000円4.003.60+0.40
12時台42,000円8.008.40−0.40
13時台30,000円7.006.00+1.00
14時台15,000円4.003.00+1.00
15時台6,000円4.001.20+2.80
16時台12,000円4.002.40+1.60
17時台24,000円6.004.80+1.20
18時台45,000円8.009.00−1.00
19時台60,000円8.0012.00−4.00
20時台48,000円7.009.60−2.60
合計300,000円60.0060.000

合計は、実際も必要も同じ60人時です。それでも時間帯ごとに見ると、余りが8.00人時、不足が8.00人時あります。人数は足りていても、置き場所がずれているということです。

余っている6つの時間帯を足すと8.00人時です。0.75で割ると10回ぶんに見えますが、そうはなりません。1つの休憩は、1つの時間帯の余りでまかなうからです。11時台の0.40人時と15時台の余りを足し合わせて、1回の休憩にすることはできません。

そこで、時間帯ごとに「差 ÷ 0.75」を計算して、小数点以下を切り捨てます。

時間帯差差 ÷ 0.75置ける45分の休憩
11時台+0.400.530回
13時台+1.001.331回
14時台+1.001.331回
15時台+2.803.733回
16時台+1.602.132回
17時台+1.201.601回
合計+8.00—8回

置けるのは、13時台から17時台までの5つの時間帯です。ここに45分の休憩を8回まで置けます。1人も増やしていません。

時間帯ごとの実際の人時と必要な人時。余りは11時台+0.40、13時台+1.00、14時台+1.00、15時台+2.80、16時台+1.60、17時台+1.20。不足は12時台−0.40、18時台−1.00、19時台−4.00、20時台−2.60。合計はどちらも60.00人時。45分の休憩を置けるのは13時台から17時台の5つで、合計8回

休憩は本人の勤務の途中に置くので、その時間帯がその人の勤務時間の中にあるかも合わせて見ます。置き場所が見つからなくても、休憩を与える義務は消えません。

置き場所が無いときは、前後の人の勤務の始まりや終わりを30分ずらして、重なりを作ります。たとえば11時から入る人なら15時台か16時台、14時から入る人なら17時台が、勤務の途中に休憩を置ける候補になります。

ワンオペは、余りをそのまま削っている

人件費を下げようとするとき、最初に手が伸びるのは、客の少ない14時台から16時台です。ここをそれぞれ1人にすると、1日9人時が減ります。

削る前14〜16時台を1人に
営業時間帯の人時60.0051.00
1日の人時75.0066.00
人件費(平均時給1,200円)90,000円79,200円
人件費率30.0%26.4%
余っている人時の合計8.002.60
0.75人時以上の余りがある時間帯5つ2つ
そのまま置ける45分の休憩8回2回

数字の上では良くなります。人件費率は3.6ポイント下がり、1日10,800円、30日で324,000円の人件費が浮きます。

ところが、休憩を置ける場所も一緒に消えます。残るのは13時台と17時台の1回ずつ、合わせて2回だけです。

削った9人時のうち5.40人時は、余っていた分、つまり休憩の置き場所でした。 残りの3.60人時は、もともと必要だった分に食い込んでいます。

削ったあとの3つの時間帯を、目標の5,000円と並べます。1人で受けたときの人時売上高(1人時あたりの売上)です。

時間帯売上1人のときの人時売上高目標との比
14時台15,000円15,000円3.0倍
15時台6,000円6,000円1.2倍
16時台12,000円12,000円2.4倍

目標を下回る時間帯は、ひとつもありません。いちばん暇に見える15時台でさえ、目標の1.2倍の売上を1人で受けることになります。

しかも15時台の+2.80人時は、8回のうち3回ぶんの休憩の置き場所でした。ここを1人にすると、その3回がまるごと消えます。

暇に見える時間帯と、人時が余っている時間帯は、同じではありません。

削る前と、14〜16時台を1人にしたあとの比較。営業時間帯の人時は60.00から51.00へ、余っている人時は8.00から2.60へ減る。0.75人時以上の余りがある時間帯は13時台から17時台の5つから、13時台と17時台の2つになり、置ける45分の休憩は8回から2回に減る

人件費は、削るものではなく配るものです。削る場所を人件費率だけで選ぶと、いちばん先に休憩が消えます。削りすぎがどう見えるかは人件費を削ったら売上も落ちたにまとめました。

休憩の枠は、希望を集める前に書く

手順は5つです。電卓とシフト表があればできます。

  1. うまく回った日を1日選び、時間帯ごとの売上と人時を並べる
  2. 営業時間帯の売上を営業時間帯の人時で割り、目標人時売上高を出す(モデル例では5,000円)
  3. 時間帯ごとに「売上 ÷ 目標人時売上高」を計算し、実際の人時との差を出す
  4. 差を0.75で割って切り捨て、その回数だけ休憩の枠を先にシフト表へ書く
  5. 差がマイナスの時間帯には休憩を置かず、そこでは人を削らない(その人の休憩は別の時間帯に置くか、勤務時間をずらして作る)

大事なのは4です。スタッフの希望を集めてから休憩を入れると、休憩の枠は毎回あと回しの残り物になります。希望の集め方はシフト希望が集まらないにまとめました。

休憩は1日1回とは限りません。14時台に30分、16時台に15分と分けて置くこともできます。分けた場合も、合計が本人の労働時間に応じた長さに届いている必要があります。

置いたあとは、打刻で実際に取れたかを確かめます。休憩の記録が毎日45分で固定されていると、取れなかった日も取れたことになり、そのぶん実際に働いた時間と人件費が少なく記録されます。

手作業で続けるときの限界

表を1日ぶん作るところまでは、電卓でできます。続けようとすると、次のところで止まります。

  • 時間帯ごとの売上と人時を、毎日そろえて並べ続ける必要がある
  • 売上目標が変われば、目標人時売上高も、余りが出る時間帯も変わる
  • 休憩のために空けた枠が、希望を当てはめていくうちに埋まって消える
  • 実際に休憩が取れたかどうかは、打刻を集計しないと分からない

とくに3つめと4つめが効きます。書いたはずの休憩が、組み終えたシフト表に残っていない。 そのことに気づくのは、たいてい当日です。

Profit Shiftなら、時間帯の人数と休憩の入れ忘れを組む前に見られる

Profit Shiftは、売上目標から必要な人時を出し、その人時でシフトを組み、出退勤の打刻までつなげて見る道具です。この記事でやったことは、画面ではこう対応します。

この記事でやることProfit Shiftの画面
1日に使える人時を出す「人時シミュレーター」(登録不要)。目標の売上と人件費率、平均時給と営業日数を入れる
時間帯ごとに何人いれば足りるかを決める「理想人時」の表①(配置人数から1時間あたりの目標売上を出す)
置いた人数と必要な売上を時間帯で並べる「シフト」の日ごとの画面の最下段にある「実人数」(30分ごと)と「必要売上」(1時間ごと)
休憩を入れ忘れた人を見つける同じ画面の労務アラート。6時間を超えて続けて置いた人には「連続 ◯ 時間配置(休憩 45分以上)」、8時間を超えると「(休憩 60分以上)」と出る
休憩が実際に取れたかを確かめる打刻の「休憩開始」「休憩終了」。休憩は1日3回まで記録できる

休憩のアラートが見ているのは、組んだシフト(予定)です。オレンジ色の「運用配慮」の欄に入り、最初は畳まれているので、開いて確かめます。保存や確定は止めません。

時間帯ごとの余りを0.75で割って休憩の回数を出す計算は、画面にはありません。「実人数」と「必要売上」を見比べて、余っている時間帯を探します。

どの時間帯に休憩を置くかを決めるのは、店長です。Profit Shiftが引き受けるのは、時間帯ごとの人数と必要な売上を並べることと、休憩の入れ忘れを組む段階で知らせるところまでです。

シフトの作成と出退勤の打刻、売上目標と日次の集計は、無料プラン(1店舗・スタッフ10名まで)から使えます。

まとめ

  • 休憩が取れないのは人数ではなく、その時間帯に人時の重なりが無いから
  • 45分の休憩は0.75人時。もともと余っている時間帯に置けば、追加の人件費はかからない
  • 休憩の義務は、店の人数ではなく本人の労働時間で決まる(6時間を超えたら45分以上)
  • モデル例では余りが1日8.00人時あり、45分の休憩を8回置ける
  • 暇に見える時間帯を1人にすると、休憩の置き場所から先に消える(8回が2回に)
  • Profit Shiftなら、時間帯の人数と必要な売上を並べ、休憩の入れ忘れを組む段階で知らせる

時間帯ごとの割り算の元になる1日の人時は、人時シミュレーターで出せます。目標の売上と人件費率、平均時給と営業日数を入れると、1か月に使える人時と1日あたりの人時が出ます。そこから準備とクローズの枠を引けば営業時間帯の人時が残り、この記事の表の「必要な人時」が埋まります。登録もログインも要らず、入力した数字はお使いの端末の中だけに残ります。