新人の教育が続かないときは、教え方の前に、教える時間がシフトの必要人時に入っているかを確かめます。

上乗せしていない分は、その日の売り場から引かれます。だから現場は教えるのを後回しにしやすく、新人は放置されたまま辞めていきます。

新人は教わる前から1人分として数えられる

初日の朝、新人がバックヤードに立っています。シフト表の上では、その人はもう1人分です。

ところが実際には、その横に教える人が付きます。表に書かれているのは新人の名前だけで、教える側の時間はどこにも書かれていません。

モデル店の1日を置きます。実在の店舗ではなく、説明のためのモデルとして置いた数字です。

項目値
日商300,000円
1日の人時62人時
オープン準備6人時
営業時間帯48人時
クローズ8人時
平均時給1,100円
1日の人件費68,200円
人件費率22.7%

営業時間帯の48人時で300,000円を売る形です。人時売上高はこうなります。

300,000円 ÷ 48人時 = 6,250円

この6,250円が、時間帯に人を置くときの基準になります。この記事では、実態がこの6,250円を上回っていたら、効率が上がったのではなく手が薄いほうへ寄っていると読みます。分母を営業時間帯だけにする理由は適正人員の出し方に書きました。

教える2人時は、どこからも出ていない

上乗せしていなければ、どこからも出ていません。新人の5時間が48人時の中に入っているので、教える側の時間は足されていないままです。

教える側が1日2人時を使ったとします。その2人時のあいだ、売り場に立つ手は減ります。

上乗せしない日教育人時を上乗せした日
営業時間帯の人時48人時50人時
うち教育に使う人時2人時2人時
売り場に立つ人時46人時48人時
日商300,000円300,000円
人時売上高の実態6,522円6,250円

上乗せしない日の実態は、割り算で出ます。

300,000円 ÷ 46人時 = 6,522円

高いほうが良い数字ではありません。目標の6,250円より272円高いのは、同じ売上を2人時少ない手で売っているからです。現場の感覚では「今日はきつい」になります。

同じ日商300,000円の営業時間帯の人時。上乗せしない日は48人時で、教育2人時を引くと売り場に立つのは46人時、300,000円÷46人時で人時売上高は6,522円。上乗せした日は50人時で、教育2人時を引いても売り場は48人時、300,000円÷48人時で6,250円。どちらの日も教える2人時は使われている

きつい日が続けば、教えるのは後回しになりやすくなります。新人の立ち上がりの遅さはここに数えていないので、実際の薄さはこれより大きくなることもあります。

上乗せした日の人件費率は23.5%になる

上乗せとは、2人時を足した人時でシフトを組むことです。1日62人時が64人時になります。

64人時 × 1,100円 = 70,400円

70,400円 ÷ 300,000円 = 23.5%

上乗せしない日上乗せした日
1日の人時62人時64人時
1日の人件費68,200円70,400円
増える額—2,200円
人件費率22.7%23.5%
売り場に立つ人時46人時48人時

1日2,200円です。この2,200円を払わない日は、2人時ぶんの手が売り場から消えています。目標の6,250円で換算すると、12,500円ぶんの売上余力にあたります。どちらの日も、教える2人時は使われています。 違うのは、それを数えたかどうかだけです。

人時を先に出してから組む順番は人時の計算のやり方にまとめました。

独り立ちまでに必要なのは20人時

1日ぶんでは決まりません。独り立ちまでの合計で置きます。

覚えてもらう持ち場を書き出し、1回あたりの人時と回数に分けます。モデル例では1回2人時を10回です。

2人時 × 10回 = 20人時

20人時 × 1,100円 = 22,000円

項目値
1回の教育人時2人時
回数10回
合計の教育人時20人時
金額(× 1,100円)22,000円
週3日入る人の期間約3週間(10回 ÷ 週3日)
月商(300,000円 × 25日)7,500,000円

月に広げると、こうなります。

22,000円 ÷ 7,500,000円 = 0.3%

月の人件費率に乗るのは0.3ポイントで、22.7%が23.0%になります。1人を独り立ちさせる原価が、月の率でこの大きさだということです。

合計を先に決めておくと、残りの回数が数えられます。7回で止まっているのか、3回で止まっているのかが、その場で分かります。

途中で辞めると同じ1人に1.3倍かかる

3回で辞めた場合を置きます。使った教育人時は6人時です。

6人時 × 1,100円 で6,600円。この6,600円は、独り立ちの手前で止まったぶんです。

独り立ちまで続いた場合3回で辞めて次の人を入れる場合
1人目に使った人時20人時6人時
2人目に使う人時—20人時
合計の教育人時20人時26人時
金額22,000円28,600円

28,600円は22,000円の1.3倍です。増える6,600円は、上乗せを避けて浮かせた2,200円の3日ぶんにあたります。

採用のやり直しにかかる手間は、この表に入っていません。入れれば差はさらに開きます。

教育人時は人時売上高の低い時間帯に置く

置く先は、人時売上高が目標を下回っている時間帯です。目標の6,250円を上回っている時間帯に置くと、教える側の手が止まって売り逃しにつながります。

モデル例の時間帯を並べます。値は適正人員の出し方の時間帯表と同じモデル店のものです。

時間帯人時売上人時売上高教育人時
14時台3人時15,000円5,000円置く
16時台3人時12,000円4,000円置く
17時台6人時24,000円4,000円置ける
19時台6人時60,000円10,000円置かない

下回っている時間帯から順に埋めます。手順は5つです。

  1. 独り立ちまでの合計の教育人時を決める(モデル例では20人時)
  2. 1回ぶんの人時と回数に割る(2人時 × 10回)
  3. 時間帯の人時売上高を出し、目標を下回る時間帯を選ぶ
  4. 選んだ時間帯に、教える側の枠を新人と別の行で置く
  5. 残りの回数を、シフトを組むたびに数えて減らす

肝心なのは4です。教える側を別の行として置かないかぎり、2人時は上乗せされません。 売上の形から人を当てる順番は売上を作るシフトと同じです。

モデル店の時間帯の人時売上高と目標6,250円の比較。14時台は3人時・15,000円で5,000円、16時台は3人時・12,000円で4,000円、17時台は6人時・24,000円で4,000円と目標を下回るので教育人時を置く。19時台は6人時・60,000円で10,000円なので置かない

手作業で続けるときの限界

ここまでは電卓とシフト表でできます。合計の教育人時を決め、下回っている時間帯に置くだけでも、放置は起きにくくなります。

続けようとすると、次で止まります。

  • 新人が複数いると、上乗せの人時が人数ぶん増えて総量を押す
  • 残りの回数は数えていないと分からず、シフト表には残らない
  • 計画より何人時使ったかは、打刻を集めないと出ない
  • 独り立ちした時点で上乗せを外さないと、人時が入ったままになる

とくに最後が効きます。上乗せは期間つきの人時です。 外す日を決めずに入れると、23.5%が平常の率として残ります。

Profit Shiftの教育人時の置き方

Profit Shiftは、売上目標から必要な人時を出し、その人時でシフトを組み、出退勤の打刻までつなげて見る道具です。この記事でやったことは、画面ではこう対応します。

この記事でやることProfit Shiftの画面
1日と1か月に使える人時を出す「人時シミュレーター」(登録不要)
教育人時を上乗せした人時で組む「シフト」の日ごとの画面。新人と教える側を別の行として置ける
上乗せした日の人件費率を見る「シフト」の月の画面の「計画人件費」
計画と実績のズレを見る同じ月の画面の「計画h / 過不足」
実際に何人時使ったかを月で見る出退勤の打刻と月次の締め

上乗せして組んだ日の人件費率は、組んだ時点で出ます。月末に集計してから分かるのでは、上乗せを外す日も決められません。

シフトの作成と出退勤の打刻、売上目標と日次の集計は、無料プラン(1店舗・スタッフ10名まで)から使えます。教える中身を決めるのは店の側で、Profit Shiftが引き受けるのは、人時の計算と、使った時間を数え直す手間です。

まとめ

  • 教育が続かないときは、教え方より先に、教える人時が計画に入っているかを見る
  • 新人を1人分として数えると、教える2人時は売り場から引かれる
  • 上乗せしない日の人時売上高は6,250円ではなく6,522円になる
  • 上乗せした日は62人時が64人時、22.7%が23.5%で1日2,200円
  • 独り立ちまでの20人時は22,000円、月の人件費率で0.3ポイント

1日と1か月に使える人時は、人時シミュレーターで出せます。目標の売上と人件費率、平均時給と営業日数を入れると、使える人時と1日あたりの人時が出ます。そこに教育人時を上乗せした形で組めば、上乗せのぶんが率にどう乗るかが先に見えます。登録もログインも要らず、入力した数字はお使いの端末の中だけに残ります。