人時(にんじ)は、働いた人数に時間をかけた合計です。計算は3つだけ覚えれば足ります。実績の人時、売上から出す必要な人時、売上を人時で割った人時売上高。

この3つが揃うと、シフトと人件費が同じ単位でつながります。

人数で管理すると、何が見えなくなるか

「今日は4人体制だった」と聞いて、人件費が分かるでしょうか。分かりません。4人が4時間なのか、8時間なのかで倍違います。

人数は、その瞬間に何人いるかを表します。人件費は、何時間働いたかで決まります。単位が違うものを同じ言葉で扱っているので、シフトの話と人件費の話がつながりません。

つなぐ単位が人時です。3人が4時間なら12人時。2人が6時間でも12人時。人件費は人時に時給をかけたものなので、人時が分かれば金額に直せます。

式① 実績の人時 — 足すだけ

いちばん簡単です。その日に働いた人の時間を、全員ぶん足します。

働いた時間
A8時間
B8時間
C5時間
D4時間
合計(実績の人時)25時間

休憩を引くかどうかは、店の決まりに合わせます。大事なのは、毎日同じ決まりで足すことです。決まりが日によって違うと、比べられなくなります。

式② 必要な人時 — 売上から逆算する

「その売上を作るのに、何時間必要か」を出します。出し方は2つあります。

A. 人件費率から出す

売上に人件費率をかけて人件費の予算を出し、時給で割ります。

項目
その日の売上目標100,000円
目標の人件費率30%
アルバイトの平均時給1,100円
必要な人時100,000 × 30% ÷ 1,100 = 27.3時間

B. 自店の実績から表を作る

「この売上のときは、うまく回った日で何人時だったか」を表にしておく方法です。売上が倍になっても人時は倍にならない、という実態を表に持てます(作り方は前回の記事)。

Aは今日からできます。Bは3か月ぶんの実績があれば作れて、自店に合います。どちらでも構いませんが、どちらか1つに決めて、毎月同じ式を使うことが大切です。

式③ 人時売上高 — 売上を人時で割る

売上を人時で割ると、1人時あたりいくら売ったかが出ます。これが人時売上高です。

その日の売上人時人時売上高
200,000円48時間4,167円
300,000円62時間4,839円
500,000円95時間5,263円

人時はBの表(売上ごとの必要人時)から引いた値です。売上が上がるほど人時売上高も上がるのは、開店準備や締めのように売上に関係なく必要な時間があるからです。暇な日ほど効率が悪く見えるのは、店の構造で、店長の怠慢ではありません。

人時売上高は「率」ではなく「円」で出るので、スタッフにも伝えやすい数字です。「今日は1人時あたり4,800円売った」は、「人件費率22.7%」より、手応えとして分かります。

3つの式の使い分け

何を表すかいつ使うか
① 実績の人時使った量日次の締め
② 必要な人時使ってよい量シフトを組む前
③ 人時売上高効率日・週・月の振り返り

②を先に出し、①と比べて、③で振り返る。この順番が、シフトと人件費をつなぐ最短の流れです。

人時の3つの式の関係図。②必要な人時(売上目標から逆算・使ってよい量・シフトを組む前)から①実績の人時(働いた時間を足す・使った量・日次の締め)へ、さらに③人時売上高(売上÷人時・効率・振り返り)へ進み、ズレていたら②の表を直すという循環

月の人時に広げる

1日の式を月に広げると、「今月使える人時」になります。たとえば月の目標売上437.5万円、人件費率28%、社員1名(月給30万円)、平均時給1,100円、営業25日なら、店全体で使えるのは 1,012.3時間、1日あたり 40.5時間 です(計算の中身は人件費率がオーバーする原因に書きました)。

この数字を持っていると、式①を毎日足していくだけで「今月あと何時間残っているか」が出ます。

手作業の限界

式そのものは電卓でできます。ただ、続けようとすると次で止まります。

  • 式①は毎日、全員ぶん足す必要がある。打刻と照らすと手間が倍になる
  • 式②は売上目標が変わるたびに出し直し
  • 式③は①と売上の両方が揃わないと出ない

とくに式①が続きません。計算が難しいのではなく、毎日やるのが難しいのです。

まとめ

  • 人時は「人数 × 時間」の合計。人件費は「人時 × 時給」なので、人時が分かれば金額に直せる
  • 式①実績の人時は足すだけ。式②必要な人時は売上から逆算。式③人時売上高は売上 ÷ 人時
  • ②を先に出し、①と比べ、③で振り返る順番でつながる
  • 売上が上がるほど人時売上高が上がるのは店の構造。暇な日の効率の悪さは怠慢ではない
  • 難しいのは計算ではなく、毎日続けること

式②の月バージョンは、人時シミュレーターでそのまま計算できます。目標の売上と人件費率を入れると、1か月に使える人時と1日あたりの人時が出ます。登録もログインも要らず、入力した数字はお使いの端末の中だけに残ります。