FL比率が下がらないのは、FもLも削り足りないからではありません。比率のまま追いかけていて、シフト表に書ける形になっていないからです。

比率は結果です。見るべきは利益の額で、L(人件費)の側で実際に動かせるのは人時です。

FLを追っても、なぜ利益が残らないのか

毎月FL比率を出している。先月より上がったので、仕入れを見直し、シフトも詰めた。翌月、また上がっている。

FLは、食材費(Food)と人件費(Labor)を合わせた呼び方です。2つの費用を1つの数字にまとめているので、まとめた時点で、どちらがどれだけ動いたのかが消えます。

比率が上がったことは分かります。ただ、明日から何をするかは出てきません。

なお、水準の目安を外から借りてくると、なぜその数字なのかを店長に説明できません。基準にするのは自店の過去の数字です。

FとLは、なぜ分けて見る必要があるのか

FとLは、売上が動いたときの反応が違います。

数字で追う(モデル例)

実在の店舗ではなく、説明のためのモデルです。準備7人時・営業60人時・締め8人時の1日75人時、平均時給1,200円で、日商30万円を作る店とします。目標どおりの日の人件費率は30.0%です。その日の売上が28万円で終わった場合を並べます。人時は75人時のまま変えていません。

項目目標どおりの日売上が28万円で終わった日
売上300,000円280,000円
食材費(F・売上の30%としたモデル)90,000円84,000円
人件費(L・75人時 × 1,200円)90,000円90,000円
F比率30.0%30.0%
L比率30.0%32.1%
FL比率60.0%62.1%

FL比率は2.1ポイント上がりました。動いたのは、L側だけです。

F比率が変わらないのは、売上が落ちれば使う食材も一緒に落ちるからです。Lは落ちません。75人時ぶんの人を、売上が落ちた日にもそのまま置いたからです。

Fは売上について動き、Lは置き方を変えないかぎり動かない。 1つの比率にまとめると、この違いが見えなくなります。

売上300,000円が280,000円に落ちた日の比較。食材費Fは90,000円から84,000円へ一緒に落ち、人件費Lは75人時のままで90,000円から動かない。F比率は30.0%のまま、L比率は30.0%から32.1%、FL比率は60.0%から62.1%へ2.1ポイント上がる

この記事で扱うのはL側です。F側は仕入れと原価の管理になり、別の手順になります。売上と原価と利益の関係は、姉妹サイトの粗利と利益の違いに詳しく書かれています。

L比率は、何が動いたときに上がるのか

L比率が上がる原因は2つしかありません。人時が増えたか、売上が落ちたかです。

上がった理由分子(人件費)分母(売上)やること
人時が増えた増える変わらない置き方を見直す
売上が落ちた変わらない減る人時を売上に合わせ直す

モデル例で増えたのは人時ではありません。売上が20,000円落ちただけです。それでもL比率は2.1ポイント上がり、人件費は1円も増えていません。

ここを「人件費が上がった」と読むと、次に起きるのは一律の削減です。人を薄くすれば売上のほうが先に落ちるので、比率はまた戻ります。

人件費率を人時に直すと、何が見えるのか

比率のままでは動かせません。人時に直すと、シフト表の上で扱える形になります。

その日の売上目標を、目標人時売上高で割ります。準備と締めは売上を作らないので、営業時間帯だけで割った値を使います(出し方は適正人員の出し方)。モデルの店では、30万円を営業時間帯の60人時で割った5,000円です。

280,000円 ÷ 5,000円 = 56人時

これが営業時間帯に置ける人時です。ここに準備7人時と締め8人時を足すと、その日は71人時になります。

71人時 × 1,200円 = 85,200円

同じ売上28万円の日を、2つの組み方で並べます。

項目75人時のまま組んだ日71人時に引き直した日
売上280,000円280,000円
人時75人時71人時
人件費90,000円85,200円
L比率32.1%30.4%
FL比率(F30%のモデル)62.1%60.4%

FL比率は1.7ポイント下がりました。やったことは削ることではなく、その日の売上に人時を合わせ直しただけです。

差は4人時、金額にして4,800円。1日では小さく見えますが、この差は営業日の数だけ出ます。

月26日営業なら124,800円、1年で約150万円です。人件費の差はそのまま利益の差になるので、FL比率で1.7ポイントと見るより、年約150万円の利益と見たほうが、手を打つ理由がはっきりします。率ではなく額で見る考え方は最低賃金が上がると利益はいくら減るのかに書きました。

人件費率を人時に直す3段階。売上目標280,000円を目標人時売上高5,000円で割って56人時、準備7人時と締め8人時を足して71人時、平均時給1,200円を掛けて85,200円でL比率30.4%。75人時のまま組んだ90,000円との差は4,800円

下がらない店は、どこで詰まっているのか

FL比率が動かない店には、共通した詰まり方があります。

  • 売上目標は日によって違うのに、置く人の形が毎日同じ
  • 人時を決めているのは売上ではなく、出られる人の希望
  • 比率の答え合わせが月に1回しかない

シフト表には、比率を書く欄がありません。書けるのは時間だけです。 目標を比率で持っているかぎり、シフトを組む手元にはその目標が届きません。

起点を売上に置き換える手順は売上を作るシフトに、月ぜんたいの上限を先に持つ手順は人件費率がオーバーする原因に書きました。どちらも、比率を時間に直すところから始まります。

手作業では、どこで止まるのか

人時に直す計算そのものは電卓でできます。ただ、続けると次で止まります。

  • 日ごとに売上目標が変わると、必要人時も毎日出し直しになる
  • その日に何人時置いたかは、打刻を集計しないと出ない
  • F側の数字は仕入れの締めを待つので、FLがそろうのは月末

とくに最後が効きます。FLの答え合わせは月に1回しかできませんが、人時なら組む前に分かります。

Profit Shiftなら、人件費率を人時と額に直して、組む前に見られる

Profit Shiftは、売上目標から必要な人時を出し、その人時でシフトを組み、出退勤の打刻までつなげて見る道具です。シフトと打刻の画面が扱うのは、L(人件費)の側です。この記事でやったことは、画面ではこう対応します。

この記事でやることProfit Shiftの画面
売上目標を人時に直す「理想人時設定」の表②に、日商ごとの必要人時を決めておく。日ごとの売上目標から、その日の「必要人時」が出る
その日の組み方が売上に合っているかを見る「シフト」の日ごとの画面。「日別目標 (税抜)」「必要人時」「適切人件費」と、組んだ「計画人時」「人件費」が並ぶ
月ぜんたいを、組む前に額で見る「シフト」の月の画面。「計画人時」「計画人件費」「計画人件費率」と、日ごとの「計画h / 過不足」が出る
答え合わせを月末まで待たない「ダッシュボード」。今日までの売上の目標と実績、打刻から出した人件費と人件費率が、月の途中でもまとまって出る

表②は、この記事で出した「売上目標 ÷ 目標人時売上高」の結果を、日商ごとに並べておく表です。初期値が入っていて、自店の数字に書き換えられます。表の日商と日商のあいだは按分して出すので、売上目標が変わった日も必要人時を出し直す必要はありません。

「適切人件費」は、必要人時に平均時給を掛けた額です。組んだ「人件費」と並べると、その日にいくら多く置いているかが額で分かります。

シフトと打刻の画面には、F(食材費)は入りません。FLがそろうのは仕入れが締まる月末ですが、Lの側だけなら、今日までの数字を毎日見られます。

シフトの作成と出退勤の打刻、売上目標と日次の集計は、無料プラン(1店舗・スタッフ10名まで)から使えます。

比率をどこに置くかを決めるのは店で、Profit Shiftが引き受けるのは、その比率を毎日の人時と額に直す手間です。

まとめ

  • FL比率が下がらないのは、比率のまま追いかけて動かせる形にしていないから
  • FとLを1つにまとめると、どちらがどれだけ動いたのかが消える
  • L比率は人時が増えなくても、売上が落ちただけで上がる
  • 動かせるのは比率ではなく人時。売上目標 ÷ 目標人時売上高で出す
  • モデル例では28万円の日を71人時に引き直してL比率32.1%→30.4%
  • その差は1日4,800円、1年で約150万円の利益の差。比率ではなく額で見ると、手を打つ理由がはっきりする
  • Profit Shiftなら、表②から毎日の必要人時が出て、組んだ人時と人件費を組む前に並べて見られる

その日に使える人時は、人時シミュレーターで出せます。目標の売上と人件費率を入れると、1か月に使える人時と1日あたりの人時が出ます。目標を比率で持っていても、シフト表に書ける形に直せます。登録もログインも要らず、入力した数字はお使いの端末の中だけに残ります。