シフトの穴が埋まらないとき、足りないのは人数ではなく時間であることがほとんどです。「あと1人ほしい」を「あと何時間ぶん」に直すと、穴の大きさも埋め方も変わります。
数えるものを人から時間に変えるだけで、同じ希望の束から組めるシフトが増えます。
「人が足りない」の中身は3つに分かれる
希望を集め終えて、シフト表を前にして手が止まる。土曜の夜が薄い。誰に頼むか考え始める。
このとき頭の中で起きているのは、実は別々の3つの問題です。
| 見え方 | 本当に起きていること |
|---|---|
| 土曜に出られる人が少ない | 希望が集まっていない(集め方の問題) |
| 何人いれば回るのか分からない | その日に必要な量が決まっていない(基準の問題) |
| 穴があるのは分かるが、どこがどれだけか言えない | 穴を人数で数えている(単位の問題) |
1つ目は次回の記事で扱います。この記事で扱うのは2つ目と3つ目です。基準が無く、単位が人数だと、穴は「なんとなく足りない」のままで、埋める手がかりが出てきません。
なぜ「人数」で数えると埋まらないのか
人数で数えると、1人は1人です。ところが実際の穴は「18時から21時まで」のように、時間の形をしています。
人数で見ると「土曜はあと1人ほしい」になります。丸一日出られる人を探すことになり、見つかりません。
時間で見ると「土曜は18時から21時に、あと3時間が2人ぶん」になります。3時間なら出せる人は、意外といます。
人は人数ではなく、時間(人時)で管理する。 同じ3人でも、4時間と8時間では別物です。穴も同じで、「1人」ではなく「何時間ぶん」で数えると、初めて埋め方が見えます。
手順 — 必要な時間を出して、集まった時間と比べる
やることは3ステップです。
- その日に必要な人時を決める(売上目標から出す)
- 集まった希望を人時に直す(出られる人の時間を足す)
- 差を時間で出し、売上の山から埋める
数字で追う(モデル例)
実在の店舗ではなく、説明のためのモデルです。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 土曜の売上目標 | 300,000円 |
| この売上に必要な人時 | 62時間 |
| 集まった希望の合計 | 50時間 |
| 足りない人時 | 12時間 |
必要な62時間は、売上ごとの必要人時の表から引いた値です(表の作り方は前回の記事に書きました。最初の3行は、自店でうまく回った日の実績から作ります)。
集まった希望が50時間なら、差は12時間。ここで初めて「土曜は人が足りない」が「土曜は12時間ぶん足りない」になります。
12時間の埋め方は1通りではない
| 埋め方 | 現実性 |
|---|---|
| 1人に12時間 | 法律上も体力上も無理 |
| 1人に8時間+1人に4時間 | 8時間出せる人がいれば |
| 3人に4時間ずつ | いちばん集まりやすい |
人数で見ていると1つ目しか浮かびません。時間で見ると、3つ目が選べます。
どの時間帯から埋めるか
12時間を置く場所にも順番があります。売上の山から埋めます。 土曜なら、18時から21時の3時間に2人ぶん(6時間)、昼のピークの2時間に2人ぶん(4時間)、残り2時間は準備か締めに、という具合です。
逆に、暇な時間帯を先に埋めると、山に人が足りないまま「人時の合計だけは足りている」状態になります。合計が合っていても、置き場所が違えば店は回りません。
それでも埋まらないときは、目標側を見直す
12時間がどうしても集まらないことはあります。そのとき、無理に埋める手は2つしかありません。店長が入るか、誰かに長時間を頼むか。どちらも、翌週の希望をさらに減らします。
もう1つの手があります。その日の売上目標のほうを下げて、計画と実態を合わせておくことです。
必要人時は売上目標から出ています。50時間しか置けないなら、それで作れる売上はいくらか。表を逆に引けば出ます。目標を現実に合わせておけば、当日「足りないのに目標だけ高い」という状態にならず、結果の答え合わせもまともになります。
人件費は削るものではなく、配るもの。配る元になる時間が足りないときは、配り先の目標から直します。
手作業の限界
この考え方は紙でできます。ただ、毎週続けると次で止まります。
- 希望を人時に直す足し算を、日ごとに毎週やることになる
- 必要人時は売上目標が動くたびに変わる
- 「誰が何時間出せるか」が LINE とメモに散らばっている
とくに最初の足し算が地味に重く、結局「なんとなく足りない」に戻りがちです。
まとめ
- 穴は「人数」ではなく「時間」で数える。1人ではなく、何時間ぶんか
- その日に必要な人時を売上目標から先に出し、集まった希望を人時に直して差を見る
- 差が12時間なら「3人に4時間ずつ」が選べる。人数で見ると浮かばない埋め方
- 埋める順番は売上の山から。合計が合っていても置き場所が違えば回らない
- どうしても埋まらないなら、売上目標のほうを実態に合わせる
必要な人時の元になる数字は、人時シミュレーターで出せます。目標の売上と人件費率を入れると、1か月に使える人時の上限と、1日あたりに直した人時が出ます。登録もログインも要らず、入力した数字はお使いの端末の中だけに残ります。
